大人のMTMの流れ
1日目(約1時間)
①問診表の記入
受け付けで問診表を記入していただきます。
※ひかり歯科は完全予約制です。初診では1時間かけて検査を行いますので、無断キャンセルをされると、マンツーマンで対応する歯科医師と歯科衛生士がとても困ることになりますので、ご都合を確認させていただきます。
②担当の歯科衛生士ごあいさつ
今後ご担当する歯科衛生士が治療室にご案内します(変更の可能性もあります)。
③口の中の診査と主訴の確認
歯の状態の確認や、これまでの治療状況のチェック、主訴の確認を行います。
④レントゲン撮影
必要に応じてレントゲン撮影を行います(ほぼ全員行わせていただきます)。
⑤口腔内の写真撮影
普段見えないところも写真撮影で確認できます。
⑥治療方針のご説明
歯科衛生士から説明を受けて、撮影した写真を見ながら、今の口の中の状態を確認していただきます。それにしたがって治療方針とおおよその治療の流れをご説明し、ご納得いただけたら治療(応急処置)に移ります。
⑦応急処置
虫歯が痛い場合には神経を取ったり、膿を出すといった処置を行います。
内容によって、口腔外科専門医、一般歯科医、歯科衛生士が対応します。
口の中がしみる程度であれば、一時的に抑制する薬を塗ります。
⑧次回以降のご説明
次回の来院時に、現在の口の中の菌の数を調べるだ液検査をするに当たって、薬の服用を止めていただく場合があります。
リステリンなどのマウスウォッシュは口の中の菌を殺してしまうので、検査の前日から使用を止めていただく必要があります。検査の日の来院直前の歯磨きも禁止です。
以上のような注意点をご説明します。
⑨次回来院のアポイント
次回から予防を担当する歯科衛生士に、次回来院のアポイントを取っていただきます。
2日目(約1時間)
①だ液検査
まず、少量の水でお口をゆすいでいただきます。
試験紙を使って虫歯菌の数や唾液の中和力、白血球数などを調べ、虫歯や歯周病のなりやすさ(リスク)を判定します。
②ホームケアの状況の調査
歯磨きの時間や回数、使っている器具や歯磨き後のうがい薬について品名や効能を聞きとります。フッ素が入っているかどうかと、その方に適したものであるかがポイントです。
③食事についての聞き取り調査
食事の回数と時間、内容、規則性を聞きとります。
食事の回数が多いと、それだけ口の中が酸性になって歯が溶けやすくなってしまいます。夜勤などがあって食事時間が不規則な場合は、ホームケアがしづらいので、それが最大の虫歯リスクになっているケースもあるようです。
④歯周ポケットの診査
深さが測れる専用の器具を歯と歯茎のすき間に入れて、1本の歯について6ポイントを図る精密な検査を行います。
⑤PCR(磨き残しチェック)
歯の染め出しを行い、歯磨きの状態を確認します。
⑥TBI(歯磨き指導)
まずご自身で、ふだん歯を磨いているように磨いていただきます。その後で磨き残しの部分についてのブラッシング指導を歯科衛生士が行います。
その結果として、歯ブラシだけでは歯石を取ることができないということがお分かりいただけるはずです。そこでどうしてもプロフェッショナルケアが必要になってきます。
⑦歯石の除去
超音波スケーラー、音波スケーラー、手用スケーラーなど専用の器具を使って、歯石を除去します。
⑧PMTC(歯のクリーニング)
歯の周りには細菌が膜状にまとわりついたもの(=バイオフィルム)がついています。歯磨きで磨き残したプラーク(歯垢)が安定し粘り強くなった状態のものです。粘り強いので歯ブラシではほとんど落とすことができません。
染め出したときに真っ赤に染まるのがこのバイオフィルムです。バイオフィルムの菌が多い所やだ液に触れるところが石灰化してくると歯石になります。目に見える歯石を取り除いても、粘着性で目に見えないバイオフィルムは取り除くことができません。ですから、赤く染め出しする必要があります。
そして歯をきれいに治した上で、バイオフィルムや歯石を除去し続ければ、歯を失う最大の原因である歯周病をかなりの確率で予防できるわけです。
3日目
①リスク判定
過去2回のご来院で検査したデータで、虫歯や歯周病のリスク判定を行い、結果をご説明します。
スウェーデンの学者が開発した「カリオグラム」という信頼性のあるソフトを使って、わかりやすく虫歯のリスクと予防効果についてご説明します。
虫歯のリスクには、
■過去のう食(虫歯)の経験
■全身状態
■飲食内容
■飲食回数
■プラーク量・磨き残しの量
■ミュータンス菌
■ラクトバチルス菌の数
■フッ素の使用状態
などがあり、これによってどの程度虫歯や歯周病になりやすいかを確率で示すことができます。
②リスクを減らす方法の説明
データにもとづいて、リスクを減らすための説明を行います。
過去の虫歯の経験は変えられませんが、これから改善できる項目について注意して生活すれば、虫歯になる確率を減らすことができます。
たとえば…
■できるだけジャンクフードを食べずに、口腔内の清掃効果がある繊維質を含む野菜中心の食事に変える。
■糖分の多い間食の回数をできるだけ減らして、口の中の酸性度を下げる。
■プラーク量を減らして、ばい菌の量を減らす。
■歯磨き粉をフッ素入りのものに変える。
といった改善が可能です。
それによって、虫歯になる確率が6~7割ある方でも、リスクを3割程度にまで減らすことが、かんたんにできるのです。
③歯石除去
歯石のついていない方はほとんどいませんので、初期治療として、歯科衛生士が歯石を除去し口腔内の環境を整えます。
この初期治療とホームケアPTCMこそ、予防歯科の基礎になることです。歯石をためないことが何よりも大切だと言えます。
一度では難しいので、何度かに分けて除去を行います。人によって回数には差があります。
歯石は細菌の固まりです。よって歯石を除去すれば、全身の病気リスクもどんどん減っていくことになります。
4日目以降
①再評価
歯石を取り去った後には、歯石の取り残しがないかどうか、歯周病が改善しているかについて再評価を行います。専用の器具で測定して歯周病の検査も行い、患者さんにも数値で確認していただきます。
歯周ポケットの深いところまできれいになっているかどうか確認し、歯石が残っている場合はレーザーを当てるなどの処置を行います。
歯石は細菌の固まりですから、少しでも残っていればそこから口の中に菌が増殖することになってしまいます。ですから徹底して歯石除去を行うのです。
②治療
さらに治療が必要な方には治療を行います。
治療が終わったら再評価を行い、他に問題点がないかどうか確認して、健康であればそこから3カ月に一度のクリーニングを行うメンテナンスのプロセスに入ります。
メンテナンス
定期的に来院していただき、歯周病検査と来院までの3カ月間の間に歯についたバイオフィルム除去(PMTC)、歯石除去を行います。
当院に定期的にご来院いただき、バイオフィルムや歯石を除去することで、虫歯や歯周病を防いで、みなさんの歯の健康を守ることができるのです。